Le Fantasque

書きかけメモ帳

映画「ドクタースリープ」

映画「シャイニング」の続編として見るとがっかり


もし、あなたが「シャイニング」は映画版しか見たことがないのなら、こんな物は見ずにさっさと映画館に足を運ぶべきだ。

シャイニング [Blu-ray]

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是非とも私と同じ光景を味わって欲しい

そしてその後原作版シャイニングを読む

そうすればキングがこれを絶賛した理由がわかるかもしれない

念のため言っておくと、こいつは明らかに宣伝詐欺だ。
「IT」のリメイク版の出来が良かったから忘れていたが、宣伝に嘘は付き物だ。
https://youtu.be/YgLsQiodvhw
そしてスティーヴン・キングが絶賛しているという事実も忘れてはならない。どうやらそこだけは本当のようだ。どういうことかというと、スティーヴン・キングは自身の著作を原作としたスタンリー・キューブリック監督の映画「シャイニング」を原作からの改変の多い駄作だとしている。
そして、その後原作通りの展開の「シャイニング」が作られたがこちらは大して話題になっていない。理由はわかるだろう。
つまり今回のも期待しないほうが良い。
www.youtube.com

このPVだと、謎の事件追ってるうちに、事件の元凶がホテルにいるかのように描写されているがそんなことはない。
今回の敵はホテルとはまったく関係のない流浪する民達で、人間の生気を吸うことで生きながらえている。そしてその連中に関わってしまった超常の力(シャイニング)を持った少女を助けるために行動するダニー。(実際助けいるのかってぐらいこの少女、アブラの能力はず抜けているが)。そして相手方をほぼ全員倒しはしたが最後に残った親玉には頭の中を覗かれているので何か手が必要と言うことで最終的な戦いの場をホテルに決めた。とこういうことらしい。

だもんで、ホテルの謎とか、
あそこに現れた怪異の謎とか、
原因とか、元凶の存在とか、元凶との対決とか
そう言うものはなにも出てこない。
単なる決闘の舞台。

シャイニングがこれで完結するというのも大嘘も良いとこだろう。なんにもホテルの謎は解けてない訳だし。まあ、流石にリメイク版itで同じ宣伝してたんで騙されはしなかったが。
せめて写真の謎くらい解いて欲しかったがなんにもない。
単に、ホテルを目覚めさせるために歩き回って、シャイニングの描写を再現するだけ。

この映画を一言で表すとしたらやはり「シャイニング版ターミネーター3」が適当かもしれない。「シャイニング」当時子供だったダニーは大人になって飲んだくれで、その日暮の生活をするという、ターミネーター3のジョンコナー同様のだめな感じの大人になってるし。
ホテルの怪奇描写も機械のように映像を再現しててそこからさらに何か発展させる様なこともせず単なるトレースしてるだけというところも似てる。まあ、ホテルの描写が入るのは最後の30分だけなんだが。
上映2:30あるうちの30分。実に1/5の時間しかホテルの描写には費やされていない。まあ、そこの描写はそれまでの2時間よりも濃厚な描写だったが。
それまでなにをしていたのか?
簡単に言うと、同じく能力者持ちではあるが不死者となることで永遠に近い時を生きられるようになった「真の絆」と称するメンバー達とその「食事風景」と「仲間の増やし方」が描かれ、
また一方では飲んだくれになって、あちこちの町を転々としてとある町にたどり着いたダニーが親切な隣人に恵まれ禁酒して更正するまでが描かれる。その中でシャイニング持ちの黒人の少女と黒板で交流していく。(ちなみにこの黒板は部屋の前の住人の置きみやげで、ダニーは学校の先生とかではない)
そして、ある時黒人の少女アブラが「真の絆」の連中の食事風景を目にしてしまった事から「真の絆」の首領、ローズザハットから目を付けられてしまう。
ダニー側も黒板のメッセージで感づいたが、特になにもしなかった。
アブラは能力を使ってローズザハットの頭の中に入り込んで、視界を盗み見ることに成功したが相手にも見つかってしまい、逆に頭の中に入り込まれそうになる。が、規格外の力で逆にスーパーにいたローズザハットをぶっ飛ばして何とか事なきを得る。
その後、ダニーの仕事場にやってきて手伝ってくれるように頼むが、ダニーはあの連中に対しては隠れているようにだけ言う。もう一度あいつ等はやってくると。
ダニーはあてにならんと思ったアブラは罠を仕掛ける。一方ローズザハットもアブラの規格外の力に驚愕してその日の夜キャンピングカーの上で幽体離脱でアブラの住処を見つけるよ。そして部屋の中に入り込んだローズザハットはいつの間にか出来ていた部屋の壁一面のキャビネットケースを開けてファイルを繰り出そうとするが、そこに寝ていたはずのアブラの声が。あわてて振り向くとのっぺらぼうに緑髪というクリーチャーそのまんまなアブラが現れ、さらにキャビネットがいきなり閉まって手を挟まれたローズザハットは逆にアブラに記憶の中を探られてしまうことになるよ。
何とかアブラを頭の中から追い出し、スタンリーキューブリックの「2001年宇宙の旅」の宇宙線描写みたいな画面回転で何とか命からがら部屋から逃げ出すよ。だだしこの衝撃は、キャンピングカーの屋根にいた本体にまで伝わったようで、ローズザハットはキャンピングカーの屋根から転がり落ちてしまい仲間を驚かせてしまう。
といったように、能力者同士の迫真の超常限界超能力合戦がくりひろげられるよ。
そして結局ボスの割に小娘にしてやられているばっかりのローズザハット以外は、ダニーとその親友たちの手によって殺されるよ。
そして「どう考えてもあとローズ・ザ・ハット一人なんやし簡単に殺せるやろ」と思われる状況で、ダニーは例のホテルでローズ・ザ・ハットを迎え撃つことを決意するよ

と言うのが大体ホテル出てるまでの二時間の描写だね。要するにジョジョみたいな異能力バトル。言うてもスタンドは登場しないが
最後の30分は劇場で確かみてみろ。

登場人物

ダニー・トランス

主人公。少し不思議な能力(シャイニング)を持ち、酒と麻薬と女に溺れる中年。"ドクター・スリープ"。ただし医者ではなく病院の夜勤看護師である。

ディック・ハロラン

幽霊黒人。前作でホテル到着直後に死んだ料理人。少年の頃のダニーに頭にモンスターボールを作ってそれに悪霊たちを封じ込める方法を伝授するよ。

ローズ・ザ・ハット

吸精型吸血鬼の集団「真の絆」の首魁。見た目はチャーリーとチョコレート工場のゴシックハットかぶった工場長である。
超能力者持ちのことは「バイオレット」と呼んでいる

バスルームの老婆

バスルームでカーテンの向こうから意味ありげに立ち上がりしなびた姿を見せてくる怪異。
冒頭、終盤、ラストと3回も登場して隙がない。
冒頭二回目の登場時にダニーの箱に閉じ込められた

実業家っぽい男

前作できぐるみの男とベッドで卑猥なことをやってた怪異。
今回は登場しない

きぐるみの男

前作で実業家っぽい男に覆いかぶさってて、何やら不遜な行為をしていたところを、ダニーのおかんに見みられた怪異。
今作には登場しない

双子の女の子

前作同様なにか意味ありげに登場するだけで特に何もしない。
「一緒に遊びましょう、永遠に」は言ってないセリフNo1。
箱に閉じ込められていたところを見ると、ダニーを追って外に出ていた模様。

ロイド

ホテルのバーテンダー。前作と違い、今回はジャック・ニコルソンに似た姿になっている。
箱に閉じ込められなかったせいか、普通にホテルに居る。

スネークバイト・アンディ

自称15歳。ネットで援交相手を募っては、自分の絶対遵守のギアスの力を使って相手を眠らせて、金を抜き取るという悪行を繰り返していたところ、真の絆のメンバーに見いだされる。
永遠の17歳になれるという言葉につられて真の絆入りをするよ。
どう見てもセンスが1960年代な格好をしているが、ネットって言葉が出てくるあたりは字幕通り2011年の模様。

野球少年

作中二番目の「真の絆」の犠牲者。
野球帰りにライ麦畑の脇を歩いていたところ、真の絆のメンバーたちにハイエースされ、拷問を受け殺される。

注意点

最後に注意点

  • ホテルは最初の数分と最後の30分しか出てこない
  • ホラー映画ではない。サイキックウォーズ
  • ホテルの謎は特に解かれない、怪異の正体も明らかにならない
  • 明確に宣伝詐欺

ここらを踏まえればダメージは少ないと思われる