Le Fantasque

書きかけメモ帳

映画「CURE」

ほんとにこれ「回路」と同じ監督?

CURE キュア [DVD]

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びっくりするほど怪作。
と言うか、自分の中にあった「狂った一頁」のイメージにピッタリ来る映画。
狂った一頁といえば「ドグラ・マグラの夢」にて「カリガリ博士」の影響を受けている映画として紹介されていた映画。あのカリガリ博士のということで期待していたのだが、実際見てみればなんともまあ、意味がわかる分からない以前にストーリーあるのか無いのか、そもそもこれ映画?ていうかこれバレエ・メカニックみたいな抽象画を集めただけのPV的な代物でキチガイ映画的な代物ではなくない?とガッカリしたもんです。
そんでがっかりするまで「狂った一頁」について想像していたのと似ている。
とにかく古臭い映像、独特な絵の見せ方、催眠術とかいう胡散臭い精神治療。

あらすじ

白いカウセリングルームで女が「青髭」を読んでいる。
右から太った男がやってきてそれを見つめる。唐突に本を投げ出す女。問われると特に理由はないと答える。そして動き出すテーブル。

場面が変わり、軽快な音楽で薄汚い大ガード下の映像。明滅する蛍光灯と取り外されるパイプ。
画面変わってベッドシーン。男の服を脱いだかと思ったら先程の鉄パイプで娼婦を殴りつける。
車で現場へ向かう刑事。ここで四方からR、C、U、Eの文字がやってきて「CURE」のタイトル。
娼婦の頸動脈は左右から十字に切り裂かれていた。犯人はすぐに見つかったが、動機は不明。類似の殺人は既に2ヶ月で3件起こっていた。
小学校教師は海岸で彷徨っていた記憶喪失の男を保護する。彼のコートにある名前から彼が「間宮」なのだと推測する。記憶障害の間宮との会話は教師を苛つかせたが、やがて間宮はライターを付けて「あんたの話が聞きたい」と繰り返す。
翌日小学校教師は2回の窓から自殺。原因は妻を殺したことだった。刑事が尋問するが動機は不明。精神科医は、精神状態もしっかりしているので「魔が差した」としか言いようがないとコメントする。
刑事は催眠術によって人を操って殺しをしているのではないかと推測する。そして警官殺しの犯人への尋問でその思いを強くする。
やがて間宮を保護した警官が入院させた病院で、刑事は間宮を確保する。彼こそが一連の事件の犯人ということで意気込んで尋問を始めるが間宮はこれまで通り脈絡のない質問ばかりで刑事を怒らせる(何で間宮が殴られないのか不思議ではある)。
火傷の痕から間宮の住まいを見つけ、彼の名前が間宮邦彦であることを突き止める。家(と言うにはあまりにボロいバラック小屋)の部屋にある本から「メスマー」と言う単語にたどり着いた刑事。
報告を終えた後、なぜか妻の姿が思い浮かび、急いで家に帰る刑事。居間で首を吊っているのを見つけ、声なき慟哭をする。しかしそれは刑事の見た幻覚だった。
間宮が輸送された精神病院(これまた汚い)へ面会に行く刑事。
妻の死ぬ幻覚を見たことを見抜かれる刑事。メスマーについて聞くも、間宮は刑事の神経を逆なでして激昂させる。
落ち着いたあと催眠術をかけて見ろ言わんばかりにライターを付けるが、雨漏りにより火は消えてしまう。そして断続的な水滴の音がやがて間宮の姿を朧気なものにしていく。
独房から出た刑事は監視役の警察官を殴って出てゆく。


出てくる建物とにかく汚い。
なんかこだわりでもあるのかといいたくなるぐらい徹底的に汚い。一応、主人公たちの家は普通なんで意図的にこういうの作ってるんだろうけど。その点「稀人」みたいな低予算映画とは違うようだ。

海外映画見てるとあんま見ないワンショットで撮る手法が使われてて、
なんともまあ日本映画だなぁと。こういう無駄に芸術的(笑)な手法使うのは日本くらいでしょう(偏見)。
コレのお陰で最初から画面見る方はなんとなく退屈な感じがしてしまう。まあ、その代わり描かれる内容が内容だから目は覚めるんだけど、妙に流れるような、というか泳ぐような滑らかな役者の動きとカメラの連動っぷりは妙に眠気を誘うような雰囲気が出てますね。

なんか日常的な風景に見えるような撮り方してるからこその非現実感があるというか。

どうもカリガリ博士の影響受けてそう。
そうなると奥さんの担当の精神科医が黒幕と言う事に?
昔々の催眠療法を使用して殺人させるとか、眠ってるような男とか、最後は主人公自体がキチガイだと分かったりとか。
色々と「最後の一頁」に期待してたところがある。

なんでタイトルが「cure」なのかと思ったら、これ並び替えるとcrue。クルエ→くるえ→狂え。となるんですなぁ。
あと「cure」をまんまローマ字入力すると、「くれ」→「呉」となり。ドグラ・マグラの主人公の名前「呉一郎」となる。なるほどなぁ

CURE [DVD]

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